「ルル。行くよー」


その時、ちーねぇちゃんの飼い主の子供たちが呼んだ。
ちーねぇちゃんは立ち上がると、一瞬だけあたしを見て言う。


「みゃー」


わたしの新しい名前、ルルって言うの。

結構可愛いでしょ? 気に入ってるんだ。

あんたは? チビ。
あんたの新しい名前は?


「……にゃー」


あたしは、モカよ。


「みゃー」


そう。可愛い名前。
あんたに似合ってるよ。

ね、また会えるといいね。
同じ街ならきっと会えるね。


「みゃーみゃー」


そう言って、ちーねぇちゃんは飼い主さんの所へ走って行った。

あたしは頭の中が混乱して、色々上手く考えられない。


ちーねぇちゃんはもうルルって名前のネコになったんだ。

二匹のおねぇちゃんたちにも、もう会えない。
ママも……


「……にゃー」


何だか寂しくて、とっても悲しい。


ちーねぇちゃん。
あたし、拾ってもらえたけど、捨てられちゃったんだよ。

ミネちゃんの事、大好きだけど。
ミネちゃんはあたしと暮らせないんだって。


ママがお月さまにいるのなら、あたしもお月さまに行きたいよ。
だってもう、どう頑張ったらいいか分からない。


ママに会いたいのに、ここじゃお月さまも見えないんだもん。