夜の図書室で

 掃除用具を少しだけ前に動かすと、なにか掃除用具入れの後ろにあるのか、しゃがみこんで手をのばし、引っ張り出した。

 女子が右手に持っていたのは、文庫本だ。グレーのほこりまみれになっている。

「本がはさまってた。ねえ、なんでこんなところに本があるの?」

「さあ。知らない」

 そう言った男子は、潔癖症なのか、ほこりのついた本を大げさに嫌がっていた。

「どうすんのこれ」

「返しに行ったほうがいいんじゃない?」

 掃除用具入れの後ろに本があったらしい。たちまちみんなが本を持った女子の近くに集まり、話し始めた。