夜の図書室で

「聞いてるよ。いま死んだらねえ……。部屋の整理をしておきたかった、って思うかな。見られたくないものとか、残したくないものとかあるし」


「エロ本とか?」


 急になにを言いだすんだ。言うなよ、女子が。


「僕の話はどうでもいいよ」


「あたしは思いだせないから、芹沢くんに聞いたらなにかヒントになるかと思ったんだけど、でも参考にならなかったね」


 両手で顔を左右からぐっと押して、眼のまわりを隠すように触って、「ダメだぁ」とつぶやいた。


「参考にならない」って言われたのが、少し胸にグサッと来た。


本気で思いだそうとしているのか? そうは見えないんだけど。


「なんだろう。いじめられてたから、やっぱりそれにまつわることかな?」


 うーん、とうなったあと、またしてもナナちゃんは黙り、教室は静かになった。