夜の図書室で

「質問してもいい?」


「いいよー」


 ノリが軽い。


「僕は霊感がないんだけど、なんでそんなにはっきり見えるの?」


「んー、なんでだろー? 気づいて! って気持ち? 怨念かな」


 怨念?! 


「怨念って……。心残りがどうとか言ってたけど、なんか、恨んでる人とか……いるの?」


 女の子は、なぜか返事をしない。


 ふっと口もとだけ笑っていた。


「なんで笑ったの」


「幽霊の話をこんなに聞いてくれる人だとは思わなかったから。なんだか、嬉しくって。あなた、性格ひねくれてると思ってたけど、実はいい人ね」


 ほめてるのか、けなしてるのか。だいたいはほめてくれた、と良く受けとっておこう。


「たぶん、あたしはこの世に心残りがあるのよ。でも、思いだせないんだよね。なんでかなぁ。亡くなったから、生前の記憶もどんどん薄れていってるみたいで」


 僕の恐怖心なんておかまいなしで、女の子は首をかしげている。