そっと、手を引かれながら自転車を下りる。 両肩に手を置かれ、導かれるままどこかへ移動する。 前後左右の感覚が分からないから、踏み出す足も恐る恐るになる。 耀くんは気遣うように、歩幅をあたしに合わせてくれた。 ……何があるんだろう。 「いいよ。目開けて」 やっと許しが出て ドキドキしながら目を開いた。 目の前に広がっていたのは。 「なに……これ……」 全てを飲み込んでしまう様な、赤。 正面に見える山が赤く燃えていた。 「まひと一緒に見たかった」 「これ……」 夕陽だった。