"キミ誰?"


そう言われたらどうしようって思った。


重くて白い扉を開けるまで、10分もかかった。





でも。



「まひ」



開けた扉の向こうにあったのは、いつもと同じ笑顔。


ベットに横たわり、その体は包帯が巻かれ痛々しいけど、柔らかいその笑顔は以前と変わらないまま。



「耀くん……?」



それは正真正銘、あたしの知っている耀くんで……。



「こうしてちゃんと生きてんだから、泣くなって」



そんなこと言われても。


嬉しくて涙が止まらない。


耀くんは、そんなあたしを困ったように見て、



「もっと近くに来て」



手を伸ばして来た。



……トクン。

耀くんの言葉に胸が反応して、一瞬涙が収まる。