【耀太】




地区大会を明日に控えた放課後。

着替えを済ませて、シューズに履き替える。



「耀くん!」



グラウンドへ飛び出そうとしたところで、後ろから呼び止められた。

まひだった。



「ん?まひどーした?」



少し赤い顔をして、息を切らしている。



「ちょっと、いい?」



まひに弱音を吐いたりして、ほんとに情けないって思った。


なんであんなこと、まひに言ったのかも分からなかった。


拓弥にも、誰にも、言ったことのなかった苦悩。


傷つけるようなことも言ったのに、まひは俺を責めなかった。


『……違う』


そう否定する余裕もなかったんだ……。





連れて来られたのは、校舎の脇にある水飲み場。



こんな呼び出し。

なんだかドキドキする。


まさか告白とかっ……?




…………ないな。