「やめちゃいけないって想いと、でも出来ないって想いが交差して、すげー苦しかった……」



胸の中で耀くんの声を聞く。



「好きなことを職業にするなってよく言うだろ?なんか分かる気がするんだ。贅沢かも知んねーし、それほど情熱がないって言われたら、そうなのかも知んねーけど……」



違う。

耀くんは、誰よりもハイジャンを愛してるから。

嫌いになりたくなかったからだよ。



でも。

分かった風な口が利きたくなくて、言えなかった。




そして。


初めて、耀くんの弱い部分を覗いた。




「だから俺、迷ってる……」











それからの耀くんは、随分考え込んでいるみたいだった。

グラウンドの耀くんにも笑顔がない。


ここまで思いつめたような表情を見るのは初めて。



いつもの集中力も、なくなっているように思えた。




大丈夫。


耀くんはただ、いつものように跳べばいいの。




そんな言葉も掛けられない程に。



あたしはテニスコートから、そんな耀くんを見守るしかできなかった。





そして大会3日前。


大会に出場することを、拓弥くんづてに聞いた。