ゾッとするホラー短編集

「恵子……、

じつは私、あの日の夜に、

女の子の幽霊の冷たい手に

心臓を掴まれて……」






私が恵子にそう言ったとき、

いつの間にか、

私と恵子の通話は途絶えていた。






〈 どうして電話が

切れたのかしら? 〉






私がスマホを握りしめながら、

そんなことを考えていたとき、

私の背後から女の子の声がした。






『私の心臓を……、返して……』






私は聞き覚えのあるその声に、

ゾッとして凍りついた。






悪夢はまだ、

終わってはくれないのだろうか?






私は、背後から

刺すような視線を感じながら、

動けなかった。






そして私の背後から、

再び不気味な声がした。






『あなたの心臓を……、

ちょうだい……』