ゾッとするホラー短編集

〈 その女の子の幽霊は、

腰を抜かした外科医に近づいて、

外科医の胸に手を伸ばしたんだ。




そして、その女の子の

幽霊の手は、

外科医の胸の中に

まるですり抜けるように

入っていって、

やがてスッと消えたんだ。




そしてその女の子の幽霊も、

外科医の前から姿を消した。




外科医は助かったと思い、

胸を撫で下ろしたんだけれど、

さらなる悲劇は、

その三日後に起きたんだ……。




その外科医さ、女の子の幽霊が

現れた三日後に

心臓麻痺で死んだんだ。




急なことだったらしいよ。




あんなに健康だった人が

何でって…… 〉






三日後。

心臓麻痺。






私は、あのとき健二が話した

言葉を思い出しながら、

ゾッとして背筋が冷たくなった。






〈 もしかして、健二の死因は、

あの幼い女の子の幽霊の

呪いなの? 〉