ゾッとするホラー短編集

私たちは、廃墟の病院を

抜け出し、

朝日を浴びて、

昨夜の恐怖から抜け出したことを

実感していた。






「もう、肝だめしなんて、

こりごりだぜ。




オレはもう、

死ぬまでこんな遊びは

やらねぇからな」






拓海がそう言うと、

恵子が拓海の腕をつねった。






「幽霊が出たら、

助けるって言ってたのに、

この嘘つき。




だから私は、止めようって

言ったのに!」






恵子がそう言って、

本気で怒ると、

その場にいたみんなが笑った。






「でも、みんなが無事で

本当に良かった」






私はそうつぶやくと、

大切な健二の顔を見つめた。






「みんな、家に帰りましょ。




きっと、家族が

心配しているから……」






私のその一言で、

みんなは笑いながら、

挨拶を交わし、

それぞれの家に帰っていった。






これで私たちの肝だめしは、

すべてが終わったはずだった。






それなのに、その日から三日後に

また事件は起きた。