ゾッとするホラー短編集

拓海がそう言って、

指さした場所に

私が目を向けると、

健二が廊下に座って、

私を見ていた。






〈 良かった……。




健二くんが、

ちゃんと生きてる 〉






私は、健二の笑顔を見ると、

うれしくて、

声を上げて泣いていた。






私たちは、ほんの好奇心から、

廃墟の病院に忍び込み、

生きた心地もしない

恐怖体験を味わった。






私たちはもう、

二度と肝だめしをしないだろう。






「早く、ここから出ましょう」






恵子のその一言に、

みんながうなずき、

立ち上がった。