ゾッとするホラー短編集

隆志は、あり得ない事態に驚き、

慌てて靴を履くと

アパートの外の通路に

身を乗り出した。






でもやはり、そこにも人影はなく

隆志はまさかと思いながらも

アパートの通路から

下の方にある道路を

のぞき込んだ。






でも、薄暗いその道路にも

やはり人影は見つからなくて、

隆志は玄関のドアの向こう側に

いたはずの誰かが

いなくなったことにゾッとして、

その場に立ち尽くした。






〈 誰もいないって、

そんなわけがないじゃないか。




だって、間違いなく誰かが、

玄関のドアを

繰り返し叩いていたから……。




僕があのドアを叩く

けたたましい音を

聞き間違えたはずもない。




だとしたら、

今のはいったい…… 〉