ゾッとするホラー短編集

隆志がアパートのドアを

開けると、

そこから部屋の明かりが

漏れてきた。






〈 どうして誰もいないはずの

隆志のアパートから

明かりが…… 〉






私のそのふとした疑問には、

簡単に答えが出てきた。






隆志のアパートの

開かれたドアの向こうから、

茶色いロングヘアーの

かわいらしい女性が

姿を見せたからだ。






私はその女性を見た瞬間、

心臓が止まるような思いがして、

まるで時間が

止まってしまったような錯覚に

陥った。






〈 隆志は私に嘘をついていた。




自分は一人暮らしだって……。




忙しくて、

恋人を作る暇がないって…… 〉






私は悔しくて、拳を握りしめ、

奥歯がきしむほどの

歯ぎしりをした。