ゾッとするホラー短編集

〈 隆志の気持ちを私に……。

隆志の気持ちを私に……。

隆志の気持ちを私に……。 〉






私は同じ言葉を

心の中で唱えながら、

隆志のあとをついていった。






私と隆志が会うのは、

いつも高級レストランで

それ以外の場所での隆志を

私は知らない。






もちろん、隆志の親も、

友だちも、

私は何も知らなかった。






でも私は、

隆志のすべてを知りたかった。






彼が好きなもの、彼の思いで、

彼の悩み、彼の夢。






できることならば、

私は隆志のすべてを知り、

隆志とすべてを共有したい。






でも、どうすれば

そんなことが……。






私が隆志の

あとをつけて、十五分、

私は隆志が住む

アパートに着いた。






〈 ここが隆志くんが、

一人暮らしをしている

アパートなのね 〉






私は離れた場所から、

隆志がアパートに入っていくのを

ドキドキしながら見つめていた。