ゾッとするホラー短編集

ひろぽんさんが私の言葉に

返事をしようとしていたので、

私はひろぽんさんが話す前に、

ひろぽんさんに話しかけた。






ひろぽんさんに先に

話されたなら、

ひろぽんさんは

きっと帰ってしまうと

思ったから……。






「ひろぽんさん、

これから私たち、

駅前の高級レストランに

行きません?




そこのお店、

とっても美味しいんですよ。




もちろんお食事代は、

私が出します。




だから、ぜひ今から……」






私がひろぽんさんにそう言うと、

ひろぽんさんは

迷った表情を見せていた。






私は迷っているひろぽんさんに、

考える時間を与えないように

さらに言葉を重ねた。






「私はこう見えても、

ちょっとした会社の

社長の娘なんです。




お金ならあるんです。




だから、遠慮なさらずに」