ゾッとするホラー短編集

私は自信なさげに、

卑屈な笑みを浮かべて

ひろぽんさんの質問に答えた。






「ひろぽんさん、

私は麻美子ではありません」






私は自分が麻美子であることを

否定して、

ここでもまた、嘘を重ねた。






「私は麻美子の友だちなんです。




今日、麻美子は忙しくて……」






「そうなんですか……」






そう言ったひろぽんさんの声は、

暗く沈んでいた。






「せっかく、麻美子さんに

会えると思ったのに、

残念です」






私はひろぽんさんの

その言葉を聞いたあとに、

ひろぽんさんに

目を向けながら思った。





〈 ひろぽんさんは、

今ここで、本物の麻美子に

会っていると知っても

がっかりするに違いない…… 〉