ゾッとするホラー短編集

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「桜子さん、今日、

残業できる?」





退社時間が近づいてきた

午後四時頃、

橋本課長がいつものように

私のデスクの前に立ち、

私にそう言った。






経理課には男女合わせて、

十一名の社員がいたが、

いつも残業を頼まれるのは、

私だけだった。






「桜子さん、大丈夫だよね。




桜子さんが、一番、

タイピングが速いから」






もう聞き慣れた

橋本課長のその言葉に、

私は小さく頷いた。






確かに私は、経理課の誰よりも

タイピングが速い。






でも、私が残業を

頼まれる理由は、

それだけではなかった。