ゾッとするホラー短編集

私はそう言ったあとに

小野田真理子の気持ちを考えて、

微笑んだ。






不幸せな私よりも

もっと不幸せな小野田真理子。






私はうれしくなって、

一つ目のトイレの個室の

ドアノブに手をかけた。






「もしかして、ここかしら?」






そして、二つ目のドアノブへ。






「それとも、ここかしら?」






そして、三つ目。






「もしかして、ここかしら?」






そして、四つ目。






「ここのドアには、

鍵がかかっているわ。




もしかして、真理子……。




あなた、ここに隠れてるの?」






私がそう言ったあと、

直美がバケツに入った水を

トイレの個室の上から

一気にぶちまけた。






「キャー」という

小野田真理子の悲鳴が

トイレの個室から聞こえてきて、

私たち三人は、

ハラを抱えて笑った。






私たちが、

うれしそうに笑っていると

トイレの個室から

ずぶ濡れの小野田真理子が、

泣き出しそうな顔で出てきた。