ゾッとするホラー短編集

〈 逃げなくちゃ…… 〉






小野田真理子の悪霊は、

私の目の前に迫っていた。






〈 逃げなくちゃ……、

逃げなくちゃ…… 〉






小野田真理子の悪霊が、

血まみれの青白い二本の腕を

私の方へゆっくりと

伸ばしてきた。






そして小野田真理子の

血のついた両手は、

私の首筋をゆっくりと撫で、

小野田真理子の血走った目が、

私の怯える目をのぞき込んだ。






『綾子さん、

私と遊びましょ。




今度は私が、イジメてあげる』






私は小野田真理子の

男性よりも低い

不気味な声を聞いたとき、

恐ろしくて、学校中に響くような

悲鳴を上げた。






そして私は、

恐ろしさから

カタカタと震える両足で

小野田真理子から逃げるために、

全力で走り出した。