するとアキは本当に怒ったのか、恥ずかしくて仕方がないのか、あたしの頬を引っ張って「やめてよ!」と言った。

引っ張る力を加減していないのか強い力で引っ張るって痛い。

「ひたい、ひたい!」と痛みを訴えるのだけどアキはなかなか離してくれない。

「はなひてって!」

「離さないから」

「ごめんなはい!」

ごめんなさいと謝ったところで、遠くからあたしとアキの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

その声は美晴と田辺くんだ。

あたしもアキもそれに気づいて手を離し、声の聞こえた方を見る。

すると2人は走ってこちらに向かってきているようだった。


「佐奈!晃!」

美晴が先にあたし達のもとにつき、後から田辺くんがやってきた。


「ごめんなさい、どうやら私達、花じいのところで眠ってしまっていたみたいなの!気が付いたらこんな時間で…ごめんなさい」


美晴が状況を説明してくれている間、田辺くんは息を整えていた。田辺くんは運動はそれほど得意じゃないらしい。


「ああ、うん、大丈夫だよ」

あたしもアキも頷く。

美晴や田辺くん、花じいが眠っていたのは全てアキのせいだ。

それにリドやファルが出てきて戦っていたことも考えると、3人とも眠っていてよかったとすら思う。


すると美晴はあたしの怪我に気づいたのか、驚きの声を上げた。

「佐奈!その足、大丈夫なの!?」