月曜日の朝、教室に行くとアキの姿はなかった。

いつも遅刻すれすれで学校に来るあたしとは対照的に、アキはいつも時間に余裕をもって行動している。

だからもう学校に来ていると思ったのに。


「あれ、どうしたんだろ?」


アキに伝えたかったのに、あたしたちの兄姉がうまくいったこと。

誰より先に、アキに伝えたかったのに。


「おはよう、佐奈」

立ち尽くすあたしに、美晴が心配そうに挨拶した。

「どうしたの?佐奈がこんなに余裕をもって学校に来るなんて」

「何の提出物を出していなかったの?」と真面目な顔で聞いてくる美晴に「違うから!」と全力で否定した。

「冗談よ、冗談」

美晴はそう言って笑ったが、全く冗談に聞こえなかった。

「でも、どうしたの?」

「あー…いや、アキの姿がないなって思っただけ」

「そういえば来ていないわね」

どうしたのかしらね、と美晴も頭を悩ます。

「体調でも悪いのかしら?この前も熱を出していたし」

もしアキがリドの封印のことで無茶をしたのだとしたら、その可能性も大いに考えられる。

それにアキはいつもは無気力なくせに、こういうときには無茶をするから本当に心配なのだ。


アキ、大丈夫かな。

1人で倒れたりしていないかな。


「そんなに心配そうな顔しないの」

美晴はあたしに笑いかけた。