私が扉を叩くと、少しの間を置いて扉越しにソフィアの声が聞こえる。
どうやら声色からして警戒しているようだ。
「・・・こんな夜深くに、一体誰です?」
その問いに「私だ」と名乗バタバタと、音がしてそして扉が開かれた。
「こんな遅い時間に来てしまってすまない。・・・入ってもいいか?」
といいながら咄嗟に扉のヘリに足を掛ける。
いきなり閉められないようにするためだ。
ソフィアは少し眉を顰めたが、部屋へと入れてくれた。
部屋へ入ると、今まで寝ていたのか少し乱れた寝台の上へと座り話を始めた。
たわいのない話をしている間も、ソフィアの表情は冴えない。
やがてソフィアは私にこう聞く。
「・・・あの」
「ん?」
「何しに来たんですか?」
・・・何しに?
今日は私達が夫婦になって初めての夜だろう?
部屋に夫が来るって事は、やる事はひとつしかないじゃないか。
「は?何しに、って。私達は夫婦になっただろう?」
そう言ってもフィオナの表情は変わらない。
・・・まさか気付いていない?