「・・・きっとそうだ。牢での食事はもっと酷いものだったからな・・・。あのような物でもソフィアにとっては豪勢な食事だったのだろう」


夕食ではソフィアの姿はなかった。

侍女のナディに聞くと、寝てしまってどんなに声を掛けようが揺らそうが起きる気配はなかったという事。



全くこのようになってもぐっすりと寝られるとは、どれだけ神経が図太いんだ!

自室の机で書類に目を通しながらも、考える事はソフィアの事であった。



ふと窓の外を見る。

月が高い位置で眩しいくらいに照らしていた。



「・・・もうこんな時間か」


そう言えば、今日ソフィアと結婚式を挙げたんだったな。


・・・という事は、今日は初夜か。


それに気付いた私は手に持っていた書類を机に戻し、服を正すと自室を出た。


向かう先はもちろんソフィアの部屋である。


抱く気はさらさらないが、状況によっては抱いてやらなくもない。

全てソフィアの出方次第だ。


・・・さて、どのような反応を見せるのか。

ソフィアの部屋に近付いていくにつれ、心臓が高鳴る。


そして、ソフィアの部屋の前に立つと、私はその扉を叩いた。