「城下街には絶対に入れさせるな!国境付近でレイモア軍を一掃しろ!そしてそのままレイモアを陥落させるんだ!」

「はっ!!」



レイモア国と我が国を隔てるその場所は、何もない広い草原である。

我が軍はそこでレイモア軍を待ち受け、総攻撃を仕掛けた。


軍力の差は目に見えていた。

兵の数も装備の数も何もかもが比べ物にならず、こちらの軍に負傷者がいないまま、この争いは一日で終結する。



「レイモア国城、陥落致しました」

「ご苦労、よくやった」

「レイモア国の王女ソフィアを捕らえましたが、いかがいたしましょう」

「地下の牢にでも入れておけ。王女の処遇は後に決める」


レイモア国の王族達やその関係者は、ほぼこの争いによって命を落としたが、唯一王女であるソフィアだけは生きたまま捕らえたらしい。

本当は私自らあの暴君に刃をかざして終わらせたかったのだが、あの王は乗っていた馬から勝手に落馬し、そのまま命尽きた。


何とも情けない終わりである。

私もこの国を狙ったという報いを王に知らしめる事が出来ずに、心の中では正直とても不満であった。


だからこそあの王の血が流れるその女に、その報いを受けて貰うしかない。


可哀想な女だ。

あんな国の王女に生まれたばかりに、このような運命になって。


地下牢で人間以下の生活をしながら、自分の人生を悔やめばよい。

このような愚行をした自分の身内を憎みながら、この世の生を終わらせればよいのだ。



「さあ、いつその報いを受けてもらおうか・・・」


それを考えながら、時は既に半年を過ぎていた。