―――その瞳は、どんな宝石よりも美しく、どんな鉱物よりも強い。



「こ、国王様!!大変です、レイモア国の軍がこちらへ・・・!!」

「・・・ほう、身の程知らずがついに切羽詰まって攻めてきたか」

「父上、ここは私に全てお任せください。今日中に終わらせましょう」

「頼んだぞ、アレックス」

「はい」


それはあの男が国王に即位した時から、ずっと危惧していた事だ。

国の未来を考えず、今の自分の欲望のみを追い求める男。

自分の思い通りにならない人間は徹底的に排除し、それに対して嫌気が差した優秀な人間は自ら国を捨て、別な国へと逃げていく。


愚者しかいない国は、いずれ困窮に陥る。

そうなった場合、愚者の考えは愚案しか出てこない事は誰が考えても分かる事だ。


案の定我が国を狙う、という行動に出た。


レイモア国の国王は馬鹿な男である。

下らない女を囲う為だけに国の金を湯水の如く使い果たし、金が無くなったとこの国の豊富な資源を狙い無謀な争いを仕掛ける。


この国がどれだけの軍力を持っているのか、彼らは知らないのだろうか。

これだけの資源があるという事は、それだけ軍の増強を図れるというのに。


この国を狙うのは、レイモア国だけではないのだ。

どこの国も隙あらば、とそう思っているのに。



だからこそ我が国もその対策を施しているのだ。



この国に住む国民を守る為に。

この国の平和を維持する為に。