「君と話をしたくて来たんだ。最近話をしていないだろう?この扉を開けてくれないか?」

「そうなのですか。でも扉を開けるつもりはありません。殿下と話す事は何もないので」

「君がなくても私はある。ここを開けろ、ソフィア」

「嫌です」

「ソフィア、開けろ」

「嫌です。絶対に開けません」



無理矢理開けられないように、そう言ったあとに内側から鍵をかけた。

念には念をと思って、扉に体重をかけて押さえる。


絶対に部屋に入れない。
絶対に顔を合わせない。


扉の向こうの動きは、感じられなかった。

少しの時間無言の時が流れて、やがて足音が遠ざかっていくのが聞こえる。



どうやら諦めたようだ。

扉の向こうに気配を感じなくなり、その事に少しホッとして、押さえていた扉から離れた。