―――コンコン。

扉を叩く音が聞こえ、その音で現実に引き戻される。

「・・・?」

こんな夜に一体誰が・・・。

夜の訪問にドキリと心臓が跳ねる。


今が何時なのかハッキリとは分からないが、月の高さから見て相当闇も深い。

私は少し身構え、扉を開けずに恐る恐る声を掛けた。



「・・・こんな夜深くに、一体誰です?」

その問いに、最近になってよく聞く低い声が、扉の向こうから聞こえた。




「―――私だ」


アレックス殿下!?

まさかこんな時間に来るとは思わず、ドキリと心臓が跳ねる。


私は急いで窓を閉めると、その扉を開けた。