「なんでって、それはお前を殺すには惜しいと思ったからだ。死をも恐れないその心に興味を持った、ただそれだけだ」
それだけ・・・って。
「だからってなんで結婚なの!?」
「そうでもしないとお前を助けてやる事が出来ないからだ」
助けてなんて、私ひとっことも言ってないわよ!
どうしてそんな勝手な事・・・。
「不服そうだな。そんなに嫌か?私と結婚するのが」
「あったりまえでしょう!?なんで好きでもない人と結婚しなきゃいけないのよ!」
自分が囚われの身だってのをすっかり忘れて、目の前の殿下にそう言葉を吐き捨てた。
失礼なのは重々分かってる。
だけど、どうしても腑に落ちないのよ。
だって私はこの国を潰そうとした国の王女なのよ?
この国にとって、私は生きていてはいけない人間じゃないの?
しかし、怒る私に対し、目の前に立つ殿下は笑っていた。