囚われ姫と金と銀の王子

「ですが、そこで諦める私ではありません。私は国王に直訴しました。エリスを妻と出来ないならば、
ナーシェ家はレイモアの土地の統治から身を引く、と。レイモアほどの国を統治出来る力があるのは、アーロンでは私だけ。貴女のお父様であるヴェルナル公爵もこの話に乗り、二人で説得をしたのです」


「お父様が?なぜ?私を勘当したはずでは」


「公爵だってそれが本意ではありませんよ。自分の娘です、幸せになって欲しいと願うのが本心でしょう。あのような事件を起こし修道院へ行って、娘は一生幸せになれない思っていた公爵にとって、私は大きな希望になったでしょうね。公爵は私以上に国王に懇願していました」



修道院に行くならば勘当すると言われたあの日。

冷たい言葉とは裏腹に、お父様はとても悲しそうな表情を浮かべていた。


あの時は、私の仕出かした事への絶望と呆れ。

それがお父様の表情をあのようにしたのだと思っていたけれど。


……でも、そうではなかった?


幸せを願わんとする父の悲痛な思いから、あのような表情になってしまったの?

それが私の曲がらない意志によって、希望は絶たれ、お父様は悲しんでいた。


そう考えたら、胸が締めつけられるほどに苦しくなった。

私はもう見捨てられるべき人間で、幸せになることなど許されないと思っていたのに。

それでも私の幸せを願う人間が、近くにいてくれたなんて。