「……それよりも、ナーシュ公爵」
「フェルナンド、と呼びなさい。エリス」
「このような真似をして、国王が黙ってはおりませんよ?名門であるナーシェ家の名に傷が付くような事をしてはいけないと思います。この事が公になる前に、どうか私を修道院へお戻し下さい」
私は再度、フェルナンドに思い直すように話す。
しかしフェルナンドの態度は変わらなかった。
「その心配は及びませんよ、エリス。なぜなら、これは国から正式に認められた"例外"だからです。国王より許しを得て、君をこのナーシェ家に招いたのです」
「認め……?」
どういうこと……?
国が私を連れ出す事を認めたって……。
「あのような形で君を連れ出したのは、他の修道女に知られたくなかっただけ。君は他の修道女と訳が違いますから。出来れば穏便にあそこから連れ出したかった。もちろんこの事はシスターも存じていました。彼女は連れ出すために一役買って出てくれたんですよ」
そんな!
シスターも加担していたなんて!
「どうして?どうしてこんな私をあなたは……」
「だから言ったでしょう?私は貴女の事を前から想っていたのですよ。……そう、それは貴女がアレックス王子の第一夫人となって初めての夜会、その時、貴女は扇子を落としてしまいましたね。そして私が拾い、貴女に渡した。その時に見た貴女の微笑み。その笑みに私は惹かれたのです。――覚えていますか?」

