囚われ姫と金と銀の王子


「お目覚めになられましたか」


部屋の扉が叩かれ、開く。

開けて私の顔を見るなり、侍女らしき女性がそう声をかけた。


「……ここは?」

「旧レイモア城。今はナーシュ家の城にございます。この部屋は、旦那様の奥様になられるエリス様の為にご用意された所でございますわ」

「私の、部屋?」

「はい。私はエリス様専属の侍女を旦那様から申し渡された、ナタリアと申します。どうぞ、よろしくお願い致します」


ナタリアは深く私に一礼をする。



しかし、あのような形で修道院から連れ去るような罪を犯し、その後どうなるかフェルナンドは分かっているのだろうか。


例外はあるが、基本修道院に入ったからには、二度と戻れないとされている。

修道女自ら逃げた場合や、このように修道女を連れ出した者には、厳重な罰が待っている。


ましてやナーシュ家は王家と深い繋がりがある名家。

国で定められた規則を破ったということは、今後王家との関係性にも亀裂が入るだろうし、ナーシュ家の名にも傷がついてしまうだろう。


しかも私は修道女になった時点で家から勘当され、公爵令嬢という肩書はもうない。

もうヴェルナル家の人間ではないという事だ。


身分も何もない、エリスという名が付いただけの女の為に、どうしてここまで……。