「紹介が遅れましたね。私は今は亡きレイモア国一帯を統治するナーシュ家の当主、フェルナンドと申します。以後お見知りおきを」
「ナーシュ家……」
ナーシュ家と言えばアーロン国でも裕所ある名家で、昔から王家とも深い繋がりのある一族だ。
身分は私の家と変わらないが、ナーシュ家の方が遥かに力が上。
レイモア国との戦いの場でアレックス王子と共に陣頭指揮を執り、より王家との信頼を深めたと聞く。
その後、レイモア国全体の統治を正式に国王より任されたと、そこまではなんとなく知ってはいたけれど。
でも、なぜ?
なぜこの方が私を……?
「どういう事です?」
「何が?」
「これはなんの真似です!?」
私は声を荒げ、向かいに座るフェルナンドに言った。
私はもう神に一生を捧げた女。
日々神の前で懺悔をし、死ぬその日まで静かに暮らすと決めた人間だ。
それを、このような形で乱暴に外へと連れ出すなんて……。
「私を修道院へお戻し下さい。私はあの場所でで一生過ごすと決めたのです。神の前で今までの行いを悔いながら慎ましく生きていくと」
「……それは無理です、エリス嬢」
「どうしてです!?これは私の人生です!あなたに口出しされたくはありません!」
「なぜって。それはエリス、貴女は私の妻になるからですよ。ナーシュ家の公爵夫人として、生きていかなければいけないからです」
「え……?」

