ナザリアとマリリンは、アレックスが開いた会食で候補の公爵達と話をして、それぞれ気に入った公爵家の元へ嫁ぐ事になったそう。

エリスもその場にいるはずだったが、エリスは自らの意志で修道院へと行く決意を固め、その決意はどんなに説得しても曲げる事はなかった。




修道院へと行く前日に、私はエリスの元を訪れる。

エリスは荷造りをしている所だった。

あれだけ沢山のドレスと装飾品を持っていたのに、出ていく時はカバン一つという、とても簡素なものだった。


「・・・どうしても行くの?あなたにはもっと明るい人生があるはずなのに」


私は再度、そうエリスに問いかける。

出来れば思い直して欲しいと、願いながら。


けれど、エリスの口からその言葉が出る事はなかった。


「ええ。どんな事であれ、私がソフィア王女を傷付けた罪は消える事はありません。神の下で今まで罪を懺悔する事が私の課せられた使命だと思っていますわ。・・・それに、私は殿下以外の男性を好きになる事はありませんから。この想いを胸に、これからを生きていきたいのです」



その言葉は胸に突き刺さって痛いくらいに、私の心に響いた。


エリスの殿下を想う気持ちは本物。


私がエリスの明るい未来を奪ってしまったのだと苦しくなる。