「・・・父上、ソフィアをお連れいたしました」

「・・・ああ、そなたがソフィアか」


大広間の一番奥、玉座に国王夫妻が座って私達が来るのを待っていた。

その前で殿下がそう私を紹介し、私は腰を落として深く夫妻に礼をした。


国王夫妻の表情は優れない。


国王夫妻もまた快く思ってはいないようだった。

王妃に至っては私を見ようともしない。


そんな事はとっくに分かっていたものの、いざその洗礼を受けると、ひやりとした汗が一筋額から流れた。



何とも言えない微妙な空気の中で、夜会は始まる。


ダンスを促す音楽が鳴り出すと、静かだった空間に徐々に賑やかさが戻る。

その音楽に合わせ、何組かがダンスフロア―へと繰り出し、踊りだす。


相変わらず私を見る目だけは変わらなかったが、その賑やかさに少しホッとしてしまった。