この時間はとても苦痛だった。
極力目を合わさず、必要最低限の言葉と相槌とで殿下とのやり取りを交わす。
自分から会話は一切せずに、料理を食べる事に集中していた。
そんな私に殿下もおかしいと感じないわけがない。
案の定殿下は、そう私に聞いてきた。
「いいえ、特に。ただの疲れです、お気になさらず」
「・・・やけに言葉の節々が冷たいね。私はソフィアに何か気に障るような事でもしたか?」
「あら、それは前からでしょう?何をいまさら」
つい、そう厭味ったらしい言葉が出てしまい、殿下はガシャン、とテーブルに強く手を打ち付ける。
殿下の顔は酷く歪んで、眉間には深い皺が出来ていた。
けれど私はそんな殿下の顔もチラリと横目で見るだけで、後は淡々と食事を摂り続ける。
「今までに君にしてきた事は悪いと思っている。けれど、そんな刺々しい言い方をしなくてもいいじゃないか」
「私は生まれた時からこういう言い方でしたの。気に入らないのならば、今すぐにでも私を修道院へ送って下さいませ」
目も合わさずに、私はそう答える。
殿下はぐっと唇を噛み、少し手を震わしていた。

