「夜会・・・ですか?」


それから何日か後、夕食中に殿下から夜会に参加して欲しいとのお願いをされた。

どうやらその夜会で、私を参加者にお披露目したいらしい。


殿下の言葉に、食事の手が止まる。


向かいに座る殿下を見上げると、金色の瞳がしっかりと私を見据えていた。

久しぶりに見る殿下の瞳の色に、トクンと心が鳴った。


「ああ。夜会は明後日、大々的に紹介する訳ではないが、その夜会に私の友人も参加するのでね。紹介をと思って」

「そうですか。・・・分かりました」

「・・・どうしたんだ?ソフィア。最近元気がないようだが」


あれから私は極力、殿下と会う事を避けていた。

殿下も公務で忙しいのかほとんど私の部屋へ訪れる事はなく、たまに訪れても『疲れている』とか『眠い』とかそんな理由を付けては、碌に話もせず殿下と会わないようにしていた。


他の妻達と一緒にしていた夕食の時間も、私を正妃にすると言ってから全員で集まって食事をする事はなくなり、各個人の部屋で食事を摂るようになっていたため、殿下に会わずにとても助かっていたのだが、この日は殿下から夕食を共にと言われ、それを断る事も出来ず、今に至る。