―――話し合いは未だ続く。

どのくらい時間が経っているのだろう。

ナディが用意したお茶はとっくに冷めているが、私はそれを気にせずに口に運んだ。


「一番いい方法は、彼女達を下賜するまで離宮に隔離しておくことだが、それをしたら公爵達が黙ってはいないだろう。危害を加えてしまったナザリアは仕方ないとしても、エリスとマリリンは今の場所から動かす事は出来ない」


「私への贈り物の嫌がらせも、二人のどちらかがやったという確実な証拠がある訳じゃないしね。ナザリアだって、牢ではなく離宮への隔離にしたのも、彼女の父である侯爵の事を考えてでしょう?彼女達のお父様達は、この国にとってなくてはならない優秀な方々なのだろうし」


「・・・そうだ。敵に回しては厄介な人間達だよ。だからあまり事を荒立てないように対処している。まあ、ナザリアとマリリンの両親達は、娘が私と結婚出来るとは思ってはおらず、私から下賜され公爵家の嫡男と結婚出来る方を望んでいるんだ。私が二人と結婚したのはその為だよ。侯爵達に頼まれて仕方なく結んだだけなんだ」


身分が高くなればなるほど、色々な利害関係が生まれてくるのは仕方がない。


彼女達は結局、家の為に使われただけの道具にしか過ぎなかった、という事なのね。