殿下は素早く行動してくれたけど、果たしてこれで解決するのかしら。

ナザリアはまだいい、ああやって感情をあらわにしてくれるから。



・・・けど、問題は残る二人。


あの二人は表情から見ても、何を考えているのかよく分からない。

表向きでは納得したように見せかけて、裏では・・・って事が大いにありうる。


特に第一夫人のエリスは、今まで正妃候補の筆頭だった訳だし、今まで寵愛を受けていたはずが、それがここに来て覆されたんだから、彼女の心の内はそれはもう穏やかじゃないはず。


殿下がちゃんと説得したところで、彼女が納得するかどうか・・・。


「いずれにせよ、まだ心休まる時はないって事ね」


私はまた大きくため息を付いた。

自分の人生は、どうしてこうも修羅場に巻き込まれやすいのだろうと、そう悩みながら。



それ以降何もないまま、その日は過ぎていった。