私の為に・・・か。


今までそんな素振りどころか、私に憎悪や嫌悪しか見せなかった人が、ここまで変わるとは。

人を好きになるって、とてつもない力を持っているのね・・・。



そんな事を考えながらぼんやりと佇んでいると、ナディの小さなうめき声が聞こえ、ハッと我に返る。



「ナディ?気が付いた?」

「あ・・・そ、ソフィア様・・・。いっ・・・ここはソフィア様の・・・」

「いいのよ、あなたの部屋は階段を使わないといけないから、もう少しここで休んでいて構わないわ」

「すみません、ソフィア様・・・」



ナディはそう言うと、また瞳を閉じて静かに寝息を立て始める。


私はナディを見つめながら、ふう、とため息を吐いた。