「ソフィア、大丈夫なのか!?」

「・・・アンタさ、馬鹿なんじゃないの!?こうなるってどうして分からないのよ!」


顔色を青くして慌てて部屋へ訪れた殿下に対し、私は怒りをあらわにそう話した。


殿下はその言葉に眉を顰める。

どうして私にそう言われたのか理解できていないらしい。


ナディは私の寝台で横になり、ようやく落ち着いたのか眠っている。

お医者様の話だと、命に別状はないが身体を壁に打ち付けた拍子に、足と手首を少し捻ってしまっている、そうだ。


思ったよりも軽傷で安心したけれど、問題はそうじゃない。


元はと言えばこの男が悪い。

こうなっているのも、きっと殿下が他の妻達に対して何の説明もなく、ただ「お前は下賜される事になった」って言っただけで終わったからではないのか、と思うのよね。


殿下の性格上、謝罪の言葉は言わなそうだし。


だから納得いかない妻達は、私に怒りの矛先を向けているのだと思った。