「よし、一等賞を引くぞ!」


菜々花はそう意気込み、箱の中に手を入れる。


念入りにくじをかき混ぜて、一枚を引き抜いた。


三角におられているくじをめくると、そこに『5等』の文字が書かれているのが見えた。


「おめでとう、5等は菓子セットだよ」


はっぴを着たお兄さんはそう言い、箱の中からうまい棒の5本セットを取り出して菜々花に手渡した。


「えぇ~。お菓子セットってうまい棒しか入ってないじゃん」


菜々花は残念そうにつぶやいて列から外れた。


まぁ、一等なんて簡単には出ないよね。


そう思いながらレシートを見せてくじの箱に手を入れた。


一等とは言わないから、菜々花よりいいものが出ないかな。


そう思いながら1つのくじを握りしめて、箱から引き抜いた。


「はい、じゃぁ開けてみてね」


そう言われ、あたしはくじを開いてみた。


そして首をかしげる。


くじの中にはハテナマークが書かれていて、その下にQRコードが印字されているのだ。


「これってなんですか?」


聞きながらくじを差し出すと、お兄さんも不思議そうな表情を浮かべた。


「なんだこれ?」


くじの商品一覧のなかにも、ハテナマークなんて載っていない。


「聞いてみるから、ちょっと待ってね」


お兄さんはそう言うと、近くにいた店員を呼び止めて話を始めた。


「本当だ。なんだろうな、ハテナって」


その店員も首を傾げてくじを見る。