全部。


このクラスができた時から全部。


作り物だった。


復讐のためだけにこのクラスは存在していた。


「朝日……」


あたしは教卓の前に立っている朝日を見た。


「ごめんね、朝日……」


朝日を助けたかった。


一緒に助かるために、ケンイチまで殺してしまった。


それなのに、それがすべて無駄になってしまうなんて……。


「謝るのは、この男に対してじゃないか?」


緒方先生が袋に詰められているケンイチを指さして言った。


「人殺しはやっぱり人殺しを繰り返すんだな」


その声にあたしはハッとした振り向いた。


文哉が呆れた表情を浮かべている。


「文哉……?」


あたしの事を好きだと言ってくれた文哉。


それも、全部うそだったの……?


「俺さ、お前の事見てて悪い人間だとは思えなかったんだ。生活態度も、見た目も、なにもかもみんなと変わらないからさ」


文哉の言葉に緒方先生が頷いた。