「秋元さん」

「なあに?」

「答え辛いのは承知の上ですけど、秋元さんって結婚するまでどのくらい付き合ってました?」

私の質問に秋元さんの箸が止まる。
そして私の瞳をじっと見つめ、ふふ、と笑った。

「・・・あら?もしかしてもうそんな話が出てるの?」

「えっと・・・」

少し言いにくく、そう言葉を詰まらせていると、秋元さんは箸を動かしながら、その問いに答え始める。

「私は結婚するまで10年、ずっと付き合ってたのよ。なかなか結婚に煮え切らなくてね、無理矢理結婚したって感じかな。子供も出来てそれなりに生活してきたけど、長い事付き合って来ていたから、常に隣にいるってのが普通になっちゃったのね。刺激も何もなくてそのうちにあっちが浮気して、のめり込んで、で、離婚」

「・・・はあ」

「私はね多分結婚のタイミングを間違えたんだと思う。もう少し早めに結婚していたなら今でも上手くいっていたかもしれない。結婚はタイミングよ、しようと思った時にしないとずるずると付き合っていっちゃうだけ。結婚してからだってちゃんと愛は育めるんだから、あまり余計な事を考えない方がいいかも。結婚したい時が一番のタイミング。そこに早いも遅いもないと思う」

余計な事・・・。
それは今私が頭の中でぐるぐると回っている事なのだろうか。