臆病者の偶像

 俺はまだ生きている。生かされている。まだ"あっち"に逝く勇気は持てそうにない。

心のどこかでまだ信じているのかもしれない―

――この先、いつか自分でも想像できないような良い事がきっとある

と。そう、信じたいのかもしれない。

妄想だ。あくまでも妄想だ。想像に過ぎない。

 私は臆病者だ。でも、長い人生を生きていくには少しくらい臆病な方が丁度いいのかもしれない。

 私は今日も生かされている。しかし、いつの日か生きられるようになりたい。少しだけど、今ではそう思うことができる。妄想ではなく、現実としてそう思うことができる。

 父さん、"そっち"で会うことになるのは、もう少し先になりそうです。

父が微笑んでいるような、そんな気がした。