「で?」


「やっぱ内緒…とか……」



話をするよう促すと、話さない方向に持って行こうとしたので、手をヒョイっと上げて指を動かす。



「嘘。話す。お願いだから手下げて」



なんとも可哀想な顔をしてそう言われたので、僕は苦笑しながら手を下ろした。



「実は俺……」


「ずっとリーシャのことが好きだったんだ」


「……えっ、なんで知って?!」



ゼノの声真似をして、予想してみた事を言ってみたら、ゼノはびっくり顔で体を引いた。



「いやーなんとなく?」



喧嘩が始まる原因は、毎回僕が見てる限りゼノだった。


ゼノからリーシャに絡みに行っていたと思っていたけれど、やはりそうだったのか。


ほら、好きな人に好きって言えなくてちょっかい出しちゃう、ってやつだろ。



「えー……バレバレ?」


「それほどではないんじゃないか? リーシャは気付いてないみたいだし」



たぶん、レティシアは気付いてたと思うけれど。


それは言わないでおくことにしよう。



「えーでもバレたー……」



真っ赤になってしまっているゼノを見れば、さらに追い討ちをかけることなんて出来そうにない。



「お前、可愛いねぇ」



純粋なゼノの恋に、ほっこりしてきた心。


ああ、なんだかすごく楽しい。