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以前はポピュラーで飼育しやすい動物しかいなかった動物園。


正直そんなに期待などしていなかったのだけれど、ゾウやキリンといった大きな動物も新しく飼育されるようになっていて、十分に楽しむことができた。


「やっぱりトラやライオンは迫力あるなぁ」


明彦がホワイトタイガーの前で立ちどまり、その勇敢な姿をマジマジを見つめている。


「猫とは思えないよね」


あたしがそう言うと、明彦がホワイトタイガーの足元を指さした。


「この足だけ見ればなんだか可愛いんだけどな」


まるくてフワフワの毛をまとった足先は、確かに猫の様で可愛らしい。


だけどその足の中には鋭い爪が隠されているのだ。


「ねぇ、ソフトクリームが食べたいなぁ」


なかなかホワイトタイガーの前から動こうとしない明彦へ、あたしはそう言った。


「ん、あぁ。そっか」


ようやく視線をホワイトタイガーからあたしへと向ける。


そして明彦は数回瞬きをした。