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バルーンの真下辺りまでやって来ると、広い駐車場のコンビニができているのが見えた。


入口には華やかなアーチが飾られ、お祝いの花が沢山並んでいる。


「コンビニか……」


あたしは呟き、楽しそうな雰囲気に近づいていく。


コンビニはすぐに建つから、新店舗ができるという噂が耳に入ってこない事も多い。


あたしはコンビニの駐車場に入りかけて、一旦足を止めた。


体を180度回転させ、通り過ぎてしまった小さな公園へと戻りトイレに入った。


ロクに掃除もれていないトイレは臭くて狭くて最低だったけれど、鞄の中からワンピースを引っ張り出し、それに着替えた。


常に私服を持ち歩いているわけではないけれど、今日はテスト返却があるから持って来ていたのだ。


そうしてテスト返却の時私服が必要なのか?


それは、これからあたしがすることに関係していた。


着替えたあたしはコンビニの店内に足を踏み入れた。


元気のいい店員の声が聞こえて来る。


本部からの応援で来ているのか、首からネームを付けているスーツ姿の男性も多く見られた。


コンビニなんて狭い店内だし、どこに行ったって大して変わらない。


それでも、オープンとなるとお店の中は窮屈なくらい人であふれていた。


特別ほしいものがあるわけでもないけれど、勉強のお供にお菓子やジュースを買ってもいいかもしれないと思い、カゴを持つ。


眠気覚ましのドリンクとガムをカゴに入れ、レジ前の商品に視線をうつした。


新人のアルバイトの子がせわしなく揚げ物を陳列し、声かけをしているのが見えた。


新店だというのに肉まんやおでんがすべて作られていて、要領を得ていないアルバイトの子たちが右往左往している。


その光景にあたしは心の中でニヤリと笑った。


新人教育がしっかり出来上がる前に、それ以上の仕事を要求するとどういう事が起こるか、あたしは良く知っていた。