和真は蓮香の非難の眼差しを受け流し、言葉を続ける。

「俺、血吸われたらお前に手ぇ出すかもしれないから」
「は?」

 意味が分からない、と首を傾げられた。


 コテン、と首を傾ける仕草は美しいと言うより可愛い。

 普段なかなか見られない蓮香の愛嬌のある仕草に、和真は改めて思う。


(さっきの匂いといい……やっぱ自制出来る自信ねぇな)

 本来は一矢報いようと思い付いた事だった。

 でも、美しく愛嬌のあるこんな姿を見せられたらそんな思惑など関係無しに自分を抑えられる自信が無くなる。


 和真は未だに首を傾げながら眉を寄せている蓮香に、もっと分かりやすい説明をした。


「血を吸われたら、性的快感を覚えるだろ? 俺、お前みたいな美人に血吸われて、理性保ってなんかいられねぇから」

 そこまで言うと、蓮香も意味を理解したのか顔色が変わっていく。

 驚きの表情から、少し血の気が引いた様になって、最後に体中の血が全て顔に集まったかのように真っ赤になる。

 まさしく茹でダコ。