月、満ちる夜に


 低い声に思わず顔をそちらに向ける。


 彼は暫く空を無言で見つめてから、なにかを諦めるように首を横に振った。


「なんでもない」


 わたしたちは再び歩き始め、言葉で確認することもなく、わたしの家へと向かう。


 家まであと五分ほどで着く。


 あと五分で伊達君とはお別れ。


 気まずい空気の中、そのことに安堵している。


 だけどどうしても拭えない違和感に、気づくと伊達君に目を向けているわたしがいた。


 薄暗い児童公園に差し掛かったところで伊達君の足が不意に止まった。



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